<金物検査・防水処理>
前回のブログで<上棟>が終わり、今回は<金物検査・防水処理>について書いていきます。
躯体に取り付ける金物は、設計時に『n値計算』という方法でそれぞれの柱について、
どの程度の金物が必要になるか計算しています。
さらに、<プレカットチェック>の時にも、設計図面をもとにしたプレカット図面を書いてもらい、
金物同士の取り合いなど施工時に起こりそうな不具合は事前に話し合っています。
ですので、<金物検査>については、事前の準備の方が大切で、
現場では、図面通りに金物が入っているかの確認が主な作業なります。
また、開口部やベランダなどの<防水処理>は、躯体を雨にさらさない為に早い段階で行われるので、
<金物検査>時点で確認をすることが多いのですが、『防水処理』が遅れるような場合は、
ブルーシートで覆うなどしてもらうか、十分に乾燥してから『防水処理』をするよう、気遣いが必要です。
躯体には『アルミサッシ』と『透湿防水シート』が施工されています。
入り口周辺は、断熱材の施工上『透湿防水シート』が施工できない部分がありましたが、
ブルーシートで覆われており、現場の人たちが雨に対して気を使っていることが伺えます。
気遣いに感謝です。
正面の窓が象徴的で、ざっくりとですが空間がわかる状態になっています。
柱に付いている棒状のものが『ホールダウン金物』で、<基礎工事 その2>で確認したものです。
地震や台風の時に、柱が抜けないよう、基礎と柱を緊結しています。
土台についている丸い金物が『アンカーボルト』で、土台が動かないようにするものです。
こちらも基礎の中にボルトが埋め込まれており、基礎と土台を緊結しています。
柱の金物と、筋かい金物の取り合い部分など複雑なところもでてきます。
柱頭と梁部分にも金物が施工されているので確認をします。
<金物検査>では、図面と実際の現場との照合が主な作業になります。
現場で起こる問題としては、アンカーボルト・ホールダウン金物の芯ズレが発生することがありますが、
この場合は『ケミカルアンカー』を使用します。
『ケミカルアンカー』は、基礎に穴を開けて接着剤で金物を基礎に固定するものなので、
接着剤自体の経年劣化が気になり、あまり使いたくはないのですが応急処置として使用する場合があります。
構造に対しては、様々な見方があると思いますが、
私個人の見解としては『バランスが取れていること』が一番重要だと思っています。
金物一つひとつも大切ですが、建物の形や、耐力壁の配置、床の剛性など、
より大きな要素を大切にして、上手く力が流れるために必要な措置は何かを考えられるよう、
日々勉強していかなければならないと思っています。
その一環として、今年は木構造について様々な講義が受けられる『みえ木造塾』に通っています。
第一回の講師は、内田祥哉(よしちか)氏で、「現代の和小屋」についての講義でした。
私達の世代にとっては、教科書に出てくる人という認識でしたが、
90歳ながら切れのある講演内容で、非常に勉強になりました。
また、機会があれば『みえ木造塾』についても、ブログで紹介したいと思います。
次回は、お施主様と共に、実際の空間を感じながらの<照明確認>となります。