前回のブログで<基礎工事>が終わり、
今回は、<上棟>前の<プレカットチェック>について書いていきます。
<プレカットチェック それでも最後は人の手が必要です>
以前は、構造部材を大工が手で加工する場合が多かったのですが、
現在は工場で部材を加工する『プレカット』が主流になっています。
設計時に構造図を描いていますので、それをもとにしてプレカット工場にプレカット図を描いてもらい、
設計者、現場監督、プレカット担当者の三者で打合せをして、行き違いがないように打合せをします。
現場では、このプレカット工場で加工された部材を組み立てるだけになるので、
事前の打合せで、梁の継手の仕様など、大半のことは決めておかなければなりません。
※継手(つぎて):梁と梁を繋げる部分 強度の弱点になるので、どこで継ぐかは重要
今回は、スキップフロアになっているので、高さ関係のチェックを入念に行いました。
また、詳細の納まりについても簡単な図を描いて、設計意図を伝えています。
ドイツ製のプレカットマシンで、3D加工も出来る優れものだそうです。
梁に用いる継手の加工も精度が高いものでした。
機械で加工が出来ない部分は、大工さんが手作業で加工を行います。
建築家が利用するプレカットでは、複雑な加工が必要とされる部分があるので、
大工さんの木配り(木の目を見て使う場所を決める)や手加工に頼る場面が、度々でてきます。
木は、その特性上どうしても不揃いになってしまうものなので、
長持ちする家を作ろうと思うと、最後は人の目に頼らなければならない部分が出てきます。
安さばかりを求めて、木を見られる大工さんが居なくなれば、建築家もお施主様も困ってしまうので、
設計者も知識を深めて、お施主様に予算を割いてもらえるよう、理解してもらわなければなりません。
<職人が居なくなる!? 嘆いてばかりでは何も解決しない>
腕の良い職人が居なくなると嘆いて、お施主様に負担を強いるばかりでは何も解決しないので、
自分なりに考えて、「伊勢建設高等職業能力開発校」や「四日市工業高等学校」で、
非常勤講師という形ですが、大工になったばかりの人や、建築の仕事を目指す高校生に建築を教えています。
一方で個人的な理由もあって、自分自身が大工の家に生まれて建築の仕事を目指してきたことや、
大学・大学院と教職課程を取って、教師になるべく勉強もしてきた経験を生かして、
高校生の時の自分に教えてあげたかったことを教えられるような気がしてやっている部分もあります。
そして何より、自分のスタート地点に立ち戻ることで、
初心を忘れずに建築に向き合っていける事が最大の理由かもしれません。
コンペ活動という夏休みを使った作品づくりの中で、高校生が作った模型です。
コツコツ頑張る生徒で、全国の賞にも入賞しました。おめでとう!!
また、機会があればブログの中でも、教育現場での活動内容を発信できれば思っています。
次回は、遂に家の骨組みが出来上がる<上棟>について書いていきます。