前回のブログでは、外観の変化を解説してきましたが、
今回のブログでは内観がどのように出来上がるのかを解説していきたいと思います。
<内観が出来るまで>
これから、建物の内観がどのように出来ていくのかを解説していきますが、
その構造は外観と同様に材料を順番に重ねるようにして施工されていきます。
骨組み(柱・筋かい) ⇒ 断熱材 ⇒ 胴縁(直張りの場合は省略)
⇒ 内装下地(石膏ボードなど) ⇒ 内装仕上げ(壁紙など)
このように、外壁と同様に順番に肉付けしていくイメージです。
仕上げによって手順の違いはありますが、今回は一般的な壁紙のパターンとします。
それでは、内壁の施工で重要な断熱の観点も交えながら、「内観の変化」を追っていきましょう。
上棟後に外周面にボード上の耐力壁が施工され、室内では筋かいを施工している途中になります。
構造計算上は、外周面の耐力壁だけで十分な耐力をもっていますが、
今回は、建物四隅に筋かいを併せて入れることで、できるだけ地震力が分散されることを狙っています。
また、2階の床は、今回『根太工法』を採用したので、この時点では施工されていませんが、
2階の床を強くしたい場合は『剛床』を用いるので、この時点で床が貼られている状態になります。
根太の間に断熱材が施工され、根太の上には、フローリングの下地となる合板が貼られています。
この時点で、キッチンなどの配管位置は固定されてしまうので、事前の位置確認が重要です。
壁の筋かいが施工され、外周部の断熱材として『ネオマフォーム』が施工されています。
断熱材である『ネオマフォーム』は板状の発泡スチロールのようなもので、
柱と柱の間に埋め込むようにして施工していきます。
断熱材のもっとも重要なことは、隙間を作らないということです。
隙間があると、そこで結露が発生してしまい、骨組みである木材を腐らす原因となるので、
隙間が出来る部分には、発砲ウレタンスプレーなどを使用して、外気が入らないようにしなければなりません。
写真左手の壁には、グラスウールを使用していますが、
これは、寝室側から小屋裏にエアコンの熱が逃げないようにするための措置です。
他にも、防音目的で、天井や壁などにグラスウールを入れることもあります。
屋根の断熱には、『断熱材をサンドイッチするような構造の屋根』を採用しているので、
写真のように、天井を作らず小屋裏も目一杯使えます。
奥の壁に横方向に胴縁が施工されています。
そして、左手の壁のように、胴縁の上に石膏ボードを貼っていきます。
今回は『胴縁工法』を採用したので、胴縁で柱の不陸調整を行いましたが、
『直張り工法』の場合は、柱自体にくるいの少ない『集成材』を用いることで、
胴縁を用いず、直接、柱に石膏ボードを貼る場合もあります。
石膏ボードの上にパテといわれる粘土のようなものを施工して、
壁を平らに仕上た後、壁紙を施工して完成です。
パテの仕上げ具合と、壁紙の厚さによっては、壁に凹凸があるように見える場合があるので、
施工精度にあわせた壁紙を選ぶように気をつけなければなりません。
また、土壁を真似した壁紙では、良く触る『照明スイッチ』部分が、
はげてくる可能性もあるようなので注意が必要です。
<目に見えにくい『下地』と『断熱』>
ここまで、「内観の変化」を追ってきましたが、
完成してしまえば見えなくなってしまう部分での『下地工程』が多いことがお分かり頂けたと思います。
下地で手を抜かずに施工できるかどうかで、完成時の仕上げ材の見栄えが変わってきますし、
将来的な劣化の状況も変わってきます。
また、現在の住宅は、各種断熱材の普及などによって、断熱への理解が深まり、施工技術が向上したことや
サッシ自体の気密性能の向上と併せて、ペアガラスが一般に使用されるようになったことから、
断熱性能と気密性が格段に良くなっていています。
気密性がよくなったことで、今まで以上に、隙間を見つけて室内の湿気が集中する恐れがあるので、
結露で骨組みを傷めないためには、施工中にしっかりと確認することが求められます。
『下地』と『断熱』という、目に見えない部分が、職人さんの気持ちが一番出る部分だと思っているので、
お施主様の想いをしっかりと現場に届けて、より良い家になるようにしていきたいものです。