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小田達郎建築設計室-ブログ

2016.09.02 その他 | 建築の知識

『インスペクター』ってわかりますか?

今週は、インスペクター養成講座という講習会に参加してきました。

インスペクターとは『検査官』という意味で、リフォームに関する資格です。

 

今後ますます広がっていくリフォーム需要ですが

現場の経験や勘に頼るような「場当たり的」なリフォーム工事でトラブルに発展するケースも多いようです。

まとまったお金をかけ日々の生活の場を改善するリフォーム工事だからこそ

こうした制度を知って、賢く活用していくことが大事だと痛感した講習会でした。以下、その概要です。

 

 

リフォームは法的規制が緩い!

今後の建築業界では、リフォーム市場は伸びていく事が予想されていますが

現状のリフォーム業では、建築資格を有していない人が、場当たり的に工事をすることも少なくありません。

また、既存建物の工事ということで、法律上も新築ほど規制が厳しくないので

建物の耐力や防火上の安全性に対しても、経験や勘に頼る工事で良いということも問題となっています。

 

そこで、消費者がある程度、安心して建物の売買が出来るようにするための制度として

既存住宅現状検査(インスペクション)がつくられ、補助金がでるようになりました。

 

今までも、耐震改修などで補助金が出ていましたが

その前段の耐震診断だけでも、詳しい建物調査と計算書の作成など意外と手間のかかる作業が多く

不動産業などで中古建物の売買をするときに、そこまで詳しく診断することは出来ないでいました。

 

ですので、インスペクションでは目視できる範囲のみを検査範囲として、しかも見たままの評価を行うだけ

それ以上のこと(壁量計算や専門家からの助言など)は行わないことになっています。

これは、不動産売買時に大きなコストが掛けられないので、コストを抑えつつ

一度は専門家の目を通して評価を行うことが、消費者の安心につながるとの判断からでしょう。

 

このような内容ですので、皆さんがインスペクションを行う際には

耐震診断などとは違い簡易な検査であることを意識して

評価書の状態が悪いようであれば、その次に進むという感覚でいれば良いと思います。

 

DSC07246+.jpg

 

それにしも、丸一日の講習会だったので疲れました。

学生時代は毎日こなしていた授業なのに、しばらく離れているとダメですね。

最近は、プレゼンや計画図面の連続で室内ばかりで作業をしていたので

久々に電車に乗って少しリフレッシュできました。気合を入れなおして図面かきます!

 

 

まとめ

大きな流れとしてまとめると(個人的な見解も含んでいます)

1.日本国内の人口が減っていくので、建物のストックが増えていく

2.ストックが増えるので、リフォーム市場が拡大していくことが予想される

3.しかし、中古建物には新築ほど建築基準法の縛りがないので問題がでてくる

4.消費者が建物売買時の判断材料となるものを作りましょう

5.既存住宅現状検査(インスペクション)の創設と、評価書を作成するインスペクターを育成

※インスペクションを受ければ補助金あり

※インスペクターになれるのは建築士などの有資格者のみ

 

<インスペクションと耐震診断の違い>

インスペクション:目視調査(見える範囲のみ) 評価のみ』で計算や助言などは行わない

耐震診断:基本的には目視調査(床下なども行けるところは潜って調査) 壁量計算なども行い診断を行う

 

 

最後になりますが、リフォームはケースバイケースで、変更工事があることがほとんどなので

現場の知識を持った工務店と、法的知識のある建築士がタッグを組むのが一番良い関係のように感じています。

 

特に、変更時に建築士の意見が聞けることが最も大きなメリットです。

工事が進行している中で、工事手法や見積もりの額に対して比較している時間的余裕がないので

建築士の意見を聞くことが出来れば、工務店側に無駄な不信感を抱くこともないので安心です。

 

信頼できる工務店があればそこに任せてしまうのが一番ですが

大きな工事の場合は法的な事や、構造的な部分で問題があるかもしれないので注意してください。