東京の友人に会いに行ったついでに建築見学をしてきたので
建築家が、どういった所に注目して建物を見ているのか感想を含めて書いていきます。
今回は『吹抜けの使い方』が、それぞれの建物で違うので、そのあたりを注目してもらえればと思います。
三菱一号館美術館などの建物に囲われた中庭空間
公園のような開放的な雰囲気とは逆の建物に囲われた中庭空間。
曲がりくねった道と植栽の配置が心地のよい空間を作り出していました。
吹抜け空間に所狭しと植栽や各施設の階段などが設置されており
『狭さ』や『複雑さ』が、逆に心地よさの原因になっているように思います。
隈研吾氏が内装を担当した『KITTE』
吹抜けに面する柱や梁は『白で統一』して同じ構成を反復しつつ
奥まった店舗などの壁は各階で『違った素材』を使っているのがお分かりになるでしょうか。
各階に別々のデザインコンセプトが設定してあり、同じような平面が積み重なる高層ビルに変化を与えています。
『材料の使い方』や『納まり(異なる材料がぶつかる部分)』を徹底して考えることで
空間の質を崩さずデザインコンセプトを一貫させているところは、住宅でも共通する重要な部分です。
東京ミッドタウンの商業施設
ビル全体の内装は、『KITTE』に比べると使用している材料の種類が多く、まとまりに欠けるイメージがありました。
一方で、吹抜け空間に竹が植えてあったことで、縦方向に視線が誘導され、吹抜け特有のガランとした感じがなく
斜めの渡り廊下が空間を切り裂いていて『KITTE』の吹抜けとは違った良さがありました。
内藤廣氏が内装を担当した、東京ミッドタウン内の『とらや』
吹抜けとは関係ありませんが、私の好きな内藤廣氏の設計したお店があったので紹介。
お店の壁は中空になっている白いブロックが反復使用されていて、質感が良く上品な印象。
カウンターや床材も白で統一してあったので、屋号の入った黒色の大きな暖簾が際立っていました。
また、暖簾をしばっている部分があったので、中の様子も伺えますし、暖簾を払いのけて入る必要もないので、
お店の方も、お客さんがより入りやすい雰囲気をつくっているように感じました。
こういった『小さな感覚・動作』が、住宅を設計する上ではとても重要なことなので勉強になります。
今回はここまで、次回も引き続き東京で見学してきた建物の感想を書いてきます。