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小田達郎建築設計室-ブログ

2016.08.06 建築の知識

動線に注目しましょう 『家族のカタチをつくるもの』

建築家の目線から『家を建てる前にぜひ知っておいて欲しいポイント』をまとめました

『三重・四日市の皆様を中心に住まいの情報をお届けするシリーズ』として

友人・知人に質問された、住まいの素朴な疑問や注意点について記事にしています。

専門家からのアドバイスとして、ご活用いただけると幸いです。

 

 

動線に注目しましょう ~『家事動線』と『家族動線』~

今回のテーマは、『動線に注目しましょう』です。

 

暮らしやすい家とは何なのでしょうか。機能が充実している家?それとも、収納が豊富な家?

どちらもあればあるほど暮らしやすい家になるでしょう。

しかし、それ以上に考慮してもらいたい点があります。それは、『動線』です。

 

動線とは、建物の中を人が自然に動く時に通ると思われる経路を線で表したものです。

この動線がバラバラだと、住んでいる人が不便に感じたり、面倒だと感じることが多くなってしまいます。

 

では、どのような動線を意識すれば良いのでしょうか。

今回は、『家事動線』と『家族動線』の2つを紹介したいと思います。

 

 

まずは、『家事動線』です。

朝は、朝食やお弁当を作ったり、洗濯機を回して洗濯物を干したりと短い時間でするべき作業は沢山あります。

その時に、動線がバラバラになってしまうと、家族のみんなが平行して作業を行うということが難しくなり

待ち時間が発生して、気持ちの良い朝が過ごせなくなってしまいます。

 

そういった事態を防ぐためにも、家事に関する動線をまとめるということが重要になってきます。

 

よく言われるのは、洗濯機が置かれている場所とキッチンが近い位置にあると

動線が短くなりスムーズに作業を行うことができるというものです。

しかし、物干しを庭に設置する場合は、家の間取りだけでなく建物配置もキチンと考えておかないと

北側の洗濯機から南の庭まで家を横断しなくてはならなくなるので、事前に考慮しておきましょう。

 

また、もう一歩踏み込んで、キッチンや洗面所だけでなく

リビング・ダイニングも含めて、行き止まりのない、回遊する間取りにできれば

朝など混雑する時間帯のストレスがないだけでなく

子供が走り回ったりすることのできる、より豊かな場面が展開する動線計画となります。

 

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次は、『家族の動線』です。

一戸建てを建てるとなると、家族それぞれの個室を用意することが多いと思います。

しかし、その結果、以前住んでいたワンルームのアパートよりも、家族の会話や団欒が減ってしまった

ということになってしまっては、折角、想いを込めて建てた家なのに寂しいですよね。

 

そんな時は、朝起きてから家を出るまで、あるいは家に帰ってきてから寝るまでの間に

意図的に家族と対面するような動線を作る家族の会話は減りにくくなります。

 

たとえ思春期に入り、ほとんど会話をしないような状況でも

一日の中に顔を合わせる機会があれば、少しの変化や違いにも気づきやすくなります。

 

家族が顔を合わせやすくなる動線や、集まりやすくなる空間、家事をしやすくなる動線など

家族の動きやライフスタイルに合わせた動線を考慮することによって、暮らしやすさは大きく変わります。

 

そんな、家族の関係さえも変えてしまう『家族動線』をしっかりと考えてみましょう。

 

 

結論:動線は目に見えないからこそ、よく考え欲しい!

動線については、雑誌で目にする綺麗なインテリア写真のようにハッキリとした形では現れてこないので

あまり関心を持つことはないかもしれませんが

記事で紹介したように動線一つで色々なことが変わっていきます。

 

『家事動線』の扱いが上手くいけば、毎日のストレスが軽減され、楽しく過ごせますし

『家族動線』のとり方次第では、家族の結びつき方が変わってしまうかもしれません。

 

動線計画は、目に見えないものですが、設計の段階で決まってしまえば、もう直すことができません。

住まいのカタチが、家族のカタチをつくるものだという意識をもって

どういった生活や家族を作っていきたいのか、家づくりを機会に再確認してみてはどうでしょうか。