監理の仕事ばかり記事にしていたので、計画中のものも記事にしなければ思っていたところ、
以前から進めていた計画案の動きが出てきたので、今回はその経緯を紹介したいと思います。
<設計は二人三脚で・・・ 設計のやり方は千差万別>
まず、ここまでの経緯としては、設計開始当初にお客様自身が書かれた図面を頂いていたので、
一度、その形を元にして、見積もり用の図面を作成して、先に概算見積りを行いました。
しかし、予算オーバーが明確になったので、ヒアリングや図面から読み取れる
『建物の核』になる部分を拾い出して、こちらで図面を作成して今回のプレゼンとなりました。
今回の設計では、通常の場合とは異なる流れで設計を行っていますが、
設計方法には様々なやり方があるので、それぞれのお施主様にあったやり方で行ってます。
通常の流れはこのようになります。
ヒアリング (雑談をしながら、建て主の要望を聞きとり)
基本計画 (建物の核を決める 建築家からの提案と建て主の要望をぶつけ合う)
概算見積り (大まかな予算を確認 予算が合わない場合は基本計画に戻る)
実施設計 (実際の建築に必要な図面を作成 構造・材料・照明・設備など)
見積り (最終的に工事を行う工務店を決定 1~3社に見積り要請)
基本計画の時点では以下のような図面を提示して、打合せを行います。
模型 縮尺:1/75 (立面図を兼ねる)
平面図 縮尺:1/100 (色なども塗ってゾーニングを分かりやすく)
断面図 縮尺:1/100 (高さの確認)
コンセプト提案書 (建物全体や各室のコンセプトのまとめ)
手前:平面図(縮尺:1/100) 右奥:模型(縮尺:1/75) 左奥:コンセプト提案書
基本設計の段階では、図面だけでは、立体的な空間のつながりが分かりにくので、
主にコンセプト提案書と模型を中心に話し合いが行われていきます。
コンセプト提案書には、配置計画から各室についての提案が書いてあり、
玄関から順番に模型や図面を見てもらいながら、各室をめぐるように説明をしていきます。
今後も、お互いの意見を出しあいながら、何度も計画案を書き換えていくわけですが、
一見、前に進んでいないような、この作業を手を抜かずに積み重ねていくことで、
お互いが価値観を理解して、質の高い空間をつくる下地が出来ていくのだと思っています。
<設計は二人三脚で・・・ 設計で重要なことはお互いを理解すること>
基本設計の段階で私がもっとも重要視していることは、私自身がお施主様を理解すること。
そして、理解してもらうこと。
実際の現場に入って『こんなはずじゃなかった』にならないように、
お互いが理解しあう期間として、基本設計には大きな力を注いでいます。
基本設計が終わると、実施設計や現場監理となり、専門的な知識が多く必要になってきますし、
納まりに関する寸法の決定や、様々な材料の選択など、細かい部分は設計者が決定することになります。
そういった、細かいものの積み重ねが最終的な空間や暮らしを形作ることになるので、
お施主様に代わって実施設計や現場監理ができるように、
この基本設計の段階で十分にお互いを理解することが重要になります。
提案した図面が上手くいかない時は、写真のようにスケッチに戻って基本設計を何度も繰り返します。
こうして何度も基本設計(お施主様には見せない図面も含めて)を繰り返すうちに、
図面の中で建て主がどうやって一日を過ごしているのかが次第にイメージできるようになり、
一年間のストーリーが明確にイメージできるようになっていきます。
一生に一度の家づくりのパートナーとして、選んでもらった責任は重く感じているので、
お施主様にも納得してもらえるよう、これからも二人三脚で粘り強く取り組んでいきます。